永沼行政書士事務所

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遺言書

2018年12月8日

相続について、法律上の配偶者であれば当然に相続人になるのですが、戸籍上同性のパートナーは養子縁組をしていない限り相続人にはなりません。
また、パートナー契約書に財産を遺贈する定めをしただけでは第三者には効果が及びません。
契約書に記載があるというだけでは亡くなったパートナーの相続人に権利を主張できないので、遺言書を作成し「パートナーに財産を遺贈する」という記載をしておかないと何も残せなくなってしまいます。

それぞれの事情に応じた遺言書を作成しておくことで、ご自身が望むことを伝え、また万が一の時に残されたパートナーのその後の生活を保障する助けになります。

※注意
法定相続人には「遺留分」があります。「全財産をパートナーに遺贈する」と記載をしてもその通りになるとは限りません。
遺留分を考慮した遺言書を作成するか、遺留分を放棄してもらう必要があります。
放棄は相続開始前には家庭裁判所の許可を得て、相続開始後は自由に放棄することができます。

法定相続人と遺留分はこちら

作成手順

  1. 書く内容を整理する
  2. 財産目録を作る
  3. 遺留分の考慮
  4. 遺言書の種類を選んで作成する
  5. 保管する
  6. 作り直す

1.書く内容を整理する

まずやるべきことは、何を遺言書に書くかを決めることです。
自分の死後はこういうことをしてほしいなどの希望や伝えたい事、ご自身の気持ちなど箇条書きで出しておきます。

2.財産目録を作る

土地、建物、車、預貯金、株などの財産をリストアップします。マイナスの財産も相続財産です。忘れずにリストに入れてください。
もし、ご自身しか知らない借金をお持ちの方は、遺言書にも書かず誰も知らないままにするのはトラブルのもとになってしまいます。

リストアップをしたら「誰に」「何を」を決めていきます。

3.遺留分の考慮

遺留分権利者がいらっしゃる場合はここで遺留分を考慮します。相続分が遺留分を下回らないよう注意してください。

パートナーに全てを渡したい場合には放棄をしてもらうようにお願いをします。直接お願いして放棄してもらってもいいですし、遺言書の付言事項に記載しても構いません。
放棄は相続開始前には家庭裁判所の許可を得て、相続開始後は自由に放棄することができます。
※注意 付言事項に法的拘束力はありません。放棄するかどうかは権利者の自由です。

放棄してもらうよう直接言えない、付言事項に書いて頼んでも放棄してくれるか不安という場合には遺留分に相当する財産を相続できるように遺言書を作成しておいた方がいいでしょう。

法定相続人と遺留分はこちら

遺留分権利者が100%の理解者で、パートナーと良好な関係を築いていても備えておくことをおすすめします。
相続となるとそれまで仲の良かった家族が争い、修復ができないほどに関係が悪化してしまうこともあります。

4.遺言書の種類を選んで作成する

遺言書の種類は3種類です。

公正証書遺言
作成した遺言書の文案を公証役場で正式な公正証書として作成・保管する方法
自筆証書遺言
全文直筆で作成し、保管も自身で行う方法
秘密証書遺言
内容を一切秘密にして遺言書の存在だけを公証役場で証明してもらう方法
公正証書遺言

ご自身で決めた内容を公証人が聞き取って作成する方法です。

公証人が文案を作成したら証人2名と内容に間違いがないか確認して間違いなければ署名押印をして完成です。

証人は利害関係人、未成年者はなることができません。
証人を依頼できる方がいない場合には公証役場で手配してくれます。

メリット

  • 公証人が確認するので内容の不備を最小限にできる
  • 公証役場に保管されるため紛失・滅失・改ざん等のリスクを回避できる
  • 検認手続が不要

デメリット

  • 作成に手数料がかかる
  • 作り直しに手間がかかる
  • 証人が2名必要
自筆証書遺言

すべてご自身の直筆で作成する方法です。

自筆証書遺言は、相続開始後に家庭裁判所で検認手続をとらなければなりません。
全文直筆かどうか、日付があるか、署名押印があるかを確認されます。一つでも欠けていると無効になってしまいます。

検認手続は遺言書の内容が有効か無効かを判断するものではなく、遺言書の存在を相続人に知らせ、遺言書の形状・加除訂正の状態・日付・署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。

  • 全文→直筆で書く
  • 日付→「平成27年4月10日」「2016年5月20日」など具体的に書く
  • 署名
  • 押印→実印が望ましい

内容についての注意点として、あいまいな表現や読み手によってとらえ方が変わってしまうような書き方はせず、誰がどう読んでも同じ意味で受け取れる書き方にしてください。
せっかく書いた遺言書の内容を巡ってパートナーと相続人との間で争いやトラブルが起きてしまう恐れがあります。

メリット

  • 紙とペンだけで作成できるので費用がほぼかからない
  • 作り直しが簡単にできる

デメリット

  • 紛失・滅失・改ざん等のリスクがある
  • 執行時に家庭裁判所の検認手続が必要
  • 発見してもらえない可能性がある
秘密証書遺言

遺言の内容を一切秘密にして作成する方法です。

公証役場の手数料がかかります。

秘密証書遺言も相続開始後に家庭裁判所の検認手続が必要です。

この方法の場合、自筆証書遺言のようにすべて直筆で作成する必要はなくパソコン・代筆で構いません。
ただし、署名は直筆でなければいけません。押印も忘れずにして下さい。
署名・押印まで終わったら、封筒に入れて、遺言書に押印した印鑑と同じもので封印をします。

次に、この封書をもって証人2名と公証役場に行きます。
封書を提示し、自己の遺言書であること、氏名・住所を申述します。
申述内容を公証人がその封書に記載します。そして、遺言者と証人が署名押印して完成です。
完成した遺言書は遺言者自身で保管することになります。

この方法の場合、公証人は遺言書の存在を証明するだけです。内容を確認しないので万が一遺言書として無効になってしまうような不備があってもわかりません。
封印をする前の確認が重要です。

メリット

  • 内容を一切秘密にできる
  • 署名以外は直筆でなくていい

デメリット

  • 公証役場で手数料がかかる
  • 紛失・滅失のリスクがある
  • 執行時に家庭裁判所の検認手続が必要
  • 無効になってしまう恐れがある

5.保管する

公正証書遺言の場合には原本が公証役場に保管されるため特に心配ありませんが、自筆証書遺言・秘密証書遺言は気をつけて保管しなければなりません。

紛失・滅失・改ざん等を防ぐために厳重に保管しなければならないものですが、厳重にしすぎて「見つからない」なんてことでは意味がありません。

パートナーまたは信頼できる親族や友人など誰かに遺言書の存在を知らせておくと安心です。

6.作り直し

作り直しは何度でも可能です。
遺言書は形式を問わず要件を満たしていれば日付の一番新しいものが有効な遺言書とされます。

公正証書で作ったからまた公正証書でないと作り直せないなどといったことはありませんので、現状でご自身が一番良いと思う形式を検討・選択してください。

当事務所では、文案の作成、ご自身で作成された遺言書が要件を満たしているかの確認、公正証書遺言を作成する際の手続を承ります。

当事務所ではメリットを重視して公正証書遺言の作成をおすすめしています。

ご自身のため、大切な方のために何をしておくべきか、ご希望の形を実現するお手伝いをします。

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